医療をうまく利用する

病院は具合が悪い時に行く場所ですが、私は具合が悪くなくても行っています。

 

ひとつは、自閉症スペクトラム障害が診断されたので、サポートを受けるため。

今後、障害者枠で働くにせよ、健常者の方と肩を並べて働くにせよ、何らかのケアやサポートが必要だということですので、頻繁ではなくても定期的に病院に通う必要があります。

 

自閉症スペクトラム障害のサポートを受けるために通う病院は、診断を受ける決め手になった心理検査を受けた精神科の病院です。

 

精神疾患を治療していたのは大学病院でしたが、次に通うのは民間の専門病院です。

大学病院での精神疾患の治療は既に終了していて、今後は治療と言うより、サポートを受けるために通院することになりそうです。

 

また、もうひとつ病院に通う理由があります。

私は何年も前に子宮頸がんを経験、子宮を全摘する手術を受けた後、一旦、状況は改善しましたが、その後、高度異形成と診断されました。

 

高度異形成になってしまうと、放置はできません。

再発のリスクも高いですから、こちらは大学病院に定期的に検査を受けに通ったり、一年に一度は入院して検査を受けています。

 

一時は放射線治療をしようかという話も出たのですが、その後状況が改善し、今のところ治療はせず、経過観察して検査のみです。

 

こうして、私は特別な治療はしていませんが、検査やサポートは必要です。

 

このような状況で病院に通っている方は、少なくないのではないでしょうか。

医学の発展と共に検査技術は進歩し、より早く小さな段階で心身に発生する問題がわかるようになりました。

 

私が経過観察している、子宮頸がん後の高度異形成は正にこういうことです。

昔であれば、黒か白か。

癌か問題なしか。

このような二者択一しか選択肢がないことが多かったのでしょうが、今はグレーゾーンで診断したり、それに応じてどうするべきかを考えられる時代になってきたと言えます。

 

癌の有効な治療方法は、早期発見と早期治療。

私の子宮頸がんが見つかった時も、かなりの早期でした。

子宮を全摘することで、根治に限りなく近づくことができる。

 

こうして子宮の全摘に踏み切った訳ですが、人間の体ですから予想や理論通りにはいきません。

でも、こうとも考えられるのではないでしょうか。

 

高度異形成の段階で定期的に検査し、先回りして状況を把握する。

予防医学的な発想ですね。

 

私の高度異形成も、大学病院で定期的に検査を受け経過を観察していますから、何かあればすぐに対処して頂けると、安心はしていませんが不安でもありません。

盤石といってもよい状態だと考えています。

 

先手必勝ですね。

検査結果が悪かったらどうしようとか、検査を受け続けなければならないことが辛いとかは、全く思いません。

 

治療以前の検査の段階で病院に通い、正しい方法で進むことが最大の防御であり、攻撃であると言えます。

 

私の元夫の伯父にあたる方は医師をしていて、もう30年近く前に、今後の医学は予防医学に移っていくべきであり、そのような役割が医療に期待されることであると話していました。

 

私も全く同感です。

当時の私はまだ若く、子宮頸がんも発症していませんでしたが、今の自分の状況は元夫の伯父、医師だった方の言葉通りになっていると考えます。

 

予防医学の役割が増え、医療とは予防の面も持つという形に移っていく。

そうであって欲しいと考えます。

 

私の父は癌で死にましたが、父の自慢はほとんど病気に罹らず頑健であることでした。

父はそんな自分を過信したのですね。

 

体調不良に気付いても我慢に我慢を重ねて、耐えきれなくなってようやく病院に駆け込みました。

診断は進行した癌。

 

手術しても悪いところを完全に切除するのは難しいかもという見立てで、手術を受けることになりました。

幸い、切除はできたのですが、その後、父は体力の低下が深刻で、仕事を続けられなくなってしまいました。

 

おそらく発達障害を抱えていたであろう父は、仕事が長続きせず職を転々とし、周囲の人ともうまく付き合えず苦労続きでしたから、早くに仕事を辞めたというのも結果的には間違いではなかったかも知れませんが、それでも健康と引き換えにすべきことではないですね。

 

その後、数年間静かに暮らし父は他界しました。

 

父のこの姿を教訓とし、私は定期的な健康診断やがん検診を欠かしません。

既に罹った子宮頸がん後の定期的な経過観察も欠かしません。

 

病気になってからではなく、先回りして小さな芽のうちに摘む。

先手必勝の発想で、予防のために医療を利用する。

元夫の伯父で医師だった方の予想通り、医療を利用することは治療と並び、予防のためになっていく。

 

これから益々、そういう時代になっていくのではないでしょうか。

 

私自身も、自閉症スペクトラム障害のサポートを受けるために精神科の病院に通い、また、癌の手術後の経過観察に努め、再発に備えた盤石の体制で迎え撃つ準備を怠らない。

 

こうして、医療をうまく利用したいものです。