今日は摂食障害の話をします。
私は今、精神の専門の病院に通い治療を受けています。
双極性障害と強迫性障害の治療を受け、生まれながらの障害、自閉症スペクトラム障害についてもサポートしてもらっているのですが、以前は摂食障害も治療していました。
拒食になったり過食になったりせず、美味しく楽しく日々の食事がとれていますが、摂食障害を治療していた頃はそうではありませんでした。
大学病院の精神科、閉鎖病棟に入院して治療を受けていた頃が一番辛かったですね。
入院初日に主治医から説明があったのですが、先ずは口から普通に食べられるか様子を見ようということでした。
食べられなければ、鎖骨のあたりから点滴の針を入れて、24時間点滴で栄養を強制的に入れるというお話を頂きました。
それを聞いた私は、点滴で強制的に栄養を入れられることに対して恐怖を感じました。
摂食障害で太るのが嫌だと極度に思い込んでいたので、点滴で強制的に栄養を注入され、太らされるのを嫌悪していたのです。
究極の選択ですね。
自分の意思でない形で栄養を強制的に注入されるくらいなら、自分の意思で口から食べた方がマシだと思ったのです。
もちろん、拒食傾向が酷かった私への配慮はありました。
普通の量の食事ではなく、最初は少量のメニューだったように記憶しています。
そして、何よりも大切なことは体重です。
主治医の最初の説明によれば、体重が基準に満たなければ退院はできないということだったので、必死に食べていました。
これは厳しかったですね。
摂食障害で入院していて、退院するためには体重を増やさなければならない。
体重が増えるのが嫌で拒食になっているのに、その気持ちを切り替えていかなければならない。
このことが精神的に厳しかったです。
退院するためにはもちろんですが、病棟の外に自分の意思で出るためにも必死でした。
入院したことがある方はわかると思うのですが、精神科の閉鎖病棟は自分の意思で病棟の外に出ることはできません。
自分の意思で病棟の外に出るためには、治療を進める上での目標を達成しなければなりません。
私の場合はきちんと食べられるようになることと、体重を目標の数値に増やすことでした。
いつまでも閉鎖病棟にいたくはないですから、食べることを拒絶する心を克服して病棟の外に出たり、最終的には退院するために必死に食べていました。
病棟の外に出たい、退院して自由になりたいという一心で食べることを拒絶する心に打ち克っていったのです。
摂食障害は精神科で治療するものです。
私のように食べることを拒絶する心と、食べることで自由を手に入れたいと思う心がぶつかり合う状況は、精神の専門医に支えてもらう必要があります。
私は鎖骨のあたりからの点滴、栄養の強制注入の処置は受けずに済みましたが、同じ病棟の中にはその処置を受けている方がいましたね。
私はそれが嫌で嫌でたまらなかったので、自由を手に入れるために必死で食べていました。
食べられない心と食べなければならないと思う心がぶつかり合い、それが一番辛かったですね。
主治医は完治という言葉は使いません。
寛解ですから、私自身は完治したつもりなのですが、今のところは状態が落ち着いているというだけなのでしょう。
美味しく食事もとれていますし、摂食障害が酷かった時から15kgも太ったほどです。
それでも、完治ではなく寛解という見立てなのですから、精神科の治療は長い時間がかかるのです。
もしかしたら、ずっと寛解のままかも知れません。
それでも構わないですね。
何はともあれ、自分の意思で食べることをコントロールし、楽しく食べられるようになりましたから、もう大丈夫です。
自分でそう思えるのだからそれで良いのです。
摂食障害に関しては、医師の手を借りなくても自分の心を自分の力で立て直せるのですから、それで良いのです。