おとぎの国はどこに行く?Part2

今日は6月30日に書いた「おとぎの国はどこに行く?」の第二弾を書こうと思います。

昔昔あるところに、おとぎの国がありました。

 

平和でのんびりとした国でしたが、問題もありました。

下下の者どもは表面上では王様を讃えておきながら、本心では尊敬していなかったのです。

 

ある時、おとぎの国で流行り病が蔓延しました。

王様はさっそく流行り病の封じ込めに着手しました。

 

夜更けに外出してはならない、盛り場で飲み食いしてはならない、互いに伝染しないよう外出する時はお面をつけるべし。

王様はこの御触書を広く国中に発布しました。

 

従順で素直な下下の者は、この御触書に従い外出する時は必ずお面をつけ、淡々と暮らし始めました。

しかし、本心では王様を信じておらず尊敬もしていない下下の者どもは、お面の下では王様を嘲笑していたのです。

 

王様の御触書には他にも問題がありました。

実は強制力がなかったのです。

王様は御神輿のようなもので周りの者に担がれるだけの存在であり、本当は誰からも尊敬されていなかったのです。

 

王様を尊敬せず互いに疑心暗鬼な下下の者どもは、お面をつけて外出せよと言われたことを良いことに、そのお面の下では王様を嘲笑していました。

王様の言うことなど最初から聞く気がなく、お面で顔を隠しながら王様のことを嘲笑していたのです。

 

そして、盛り場で飲み食いしてはならないと言われても、多くの者が従いませんでした。

王様は誰にも信じてもらえていなかったのです。

 

王様もそのことを薄薄わかっていました。

王様はそんな下下の者どもの幸福を願ったりはしませんでした。

自分のことを尊敬せず信じてもいない者の幸せを願うことなどできるでしょうか?

 

こうして、互いに信じ合えない王様と下下の者。

信じ合えず尊敬し合うこともできなくても、それを不幸だと思えないおとぎの国の王様と下下の者ども。

誰一人、自分たちが不幸だと気付きませんでした。

 

そして、おとぎの国の不幸は他にもありました。

王様を信じられないならばと、我こそが国のリーダーであると名乗りを上げた者がいたのです。

 

見目麗しいその者は多くのおなごの支持を集め、集まるおなご達をたちまち虜にしました。

彗星のごとく現れたその者は侍と名乗り、王様が発することのない甘い言葉を次々と発していったのです。

 

集まってきたおなご達は侍の虜になり、侍の言うことならばと妄信するようになりました。

侍が右と言えば右。白と言えば白。丸と言えば丸。

何が本当に正しいことか、疑うこともしませんでした。

 

侍こそが救世主と、おなご達は信じて疑うこともせず、やがては王様の言葉よりも侍の言葉を信じるようになってしまったのです。

 

このことにほくそ笑んでいるのは、侍に他なりませんでした。

侍は気付いていたのです。

王様は本当は尊敬されていない。

誰も王様の言葉を信じていない。

王様と下下の者どもは、互いに尊敬もせず信頼し合ってもいない。

 

侍の目的はそれらにつけ込み金儲けをすることでした。

信じてもらえない王様しかなく、尊敬すべきリーダーのいないおとぎの国ではおなごを騙して容易に金儲けができたのです。

 

侍は口当たりの良い甘い言葉を囁き、まんまとおなご達から金を巻き上げました。

 

しかし、これは侍とおなご達の間だけのことではなかったのです。

他にも狡賢い欲張りが現れては、おとぎの国の住人を騙し金儲けに精を出しました。

 

互いに信頼し合えない王様と下下の者ども。

王様を尊敬できない下下の者。

単なる御神輿で強いリーダーシップを発揮できない王様。

 

それらに疑問を持たず、より良い国づくりを放棄し、甘い言葉になびき、目先の快楽に耽る者どもが跳梁跋扈するおとぎの国。

 

おとぎの国はどこに行くのでしょう?