実は料理上手なんです

私は今は離婚して独身です。

自宅で料理することはありません。

今の家に引っ越してきて7年以上経っていますが、コンロというものがありません。

 

自分のTwitterアカウントに毎日写真を載せているのですが、コンビニやスーパー、お弁当屋さんで買ってきたものの写真を載せています。

 

離婚して一人になってから、料理はしていませんね。

まだ実家と行き来している頃は、母とカレーライスを作ったりしていたのですが、今は私の障害に理解がない母とは絶縁状態です。

 

そんな訳で、料理は全くしなくなってしまいましたが、元夫と一緒にいた頃は、専業主婦として毎日、一日三食作っていたものです。

 

元夫はコンピューターシステムの開発の仕事をしていて、かなり忙しい人でしたから、私が家事を一手に引き受けていました。

当然、元夫にはお昼ご飯のお弁当を持たせ、特に忙しい日には、晩ごはんのぶんもお弁当を作って持たせていました。

 

それでも、元夫は家事には協力的で、仕事が休みの日は二人で料理もしていましたね。

 

元夫にお弁当を持たせていたのも、今ではいい思い出です。

元夫は太りやすい体質で、仕事も体を動かすものではなくデスクワークでストレスがかかる仕事でしたから、持たせるお弁当のメニューにも気を使いました。

 

家庭菜園でとれた野菜を入れたり、晩ごはんのぶんで持たせるお弁当は汁が漏れないようにしたり、また、夏は暑さで腐らないようにメニューに気をつけたり。

実に様々な工夫をしていたものです。

楽しかったですね。

 

お弁当以外にも、仕事で遅くなる元夫のために酒のツマミを作り置きしたりと、料理自体も楽しんでいましたが、元夫の生活に合わせて気を配ることを楽しんでいました。

 

料理とは、材料からメニューを考え、美味しく食べられるようにするまでのプロセスが楽しいですよね。

私もそのプロセスを楽しんでいたのです。

元夫の仕事に合わせたり、太りやすい体質に配慮したり、スーパーに食材を買いに行くと予算と相談したり。

その全てのプロセスを楽しんでいました。

 

料理は調理自体以外にも、それにまつわるプロセスを楽しむものです。

やってみれば楽しいのでしょうが、今の私は離婚して独身。

ついつい楽な方に流れて、コンビニが私のキッチンのようになってしまっています。

 

料理を覚えるのは、母親に教えてもらったという方が多いのではないでしょうか。

私もそれに近いものがあります。

しかし、直接教えてもらったことはないですね。

 

私の母はフルタイムで仕事をしていて、仕事から帰ると慌しく夕食の準備に取り掛かるという忙しい生活をしていたので、手取り足取り料理を教えてもらった記憶はありません。

母が忙しそうに台所で孤軍奮闘している姿を見て、私は料理を覚えました。

見様見真似で覚えたという感じですね。

 

母だけが孤軍奮闘して食事の支度をしていた。

私はこのことに理不尽を感じていました。

父は何一つ手伝うことなく、専ら食べるだけであり、後片付けも手伝いませんでした。

 

母も仕事で疲れているのに、全てを一人でこなそうと無理をしていた。

 

私はいつもこう考えていました。

母も父と同じようにフルタイムで働いているのだから、食事の支度や後片付けも平等に手分けしてやるべきではないかと。

料理や後片付けに対する父と母の姿勢には、大いに不満でしたね。

 

私の両親は1930年代生まれの古い世代です。

語弊はありますが、この世代の人間は最低です。

不合理な男女の役割分担を当然のこととし、私の障害、自閉症スペクトラム障害のことで言えば、適切な配慮をしようという理解がない。

障害がある娘を精神の専門の病院に連れて行くことは、あってはならないことだと捉え直視しない。

 

そんな訳で、私は母に料理を教えて欲しいと言うのも憚られていました。

台所に立つ母の背中を見て、料理をなんとなく覚えましたね。

 

ですから、料理を覚えたての頃は楽しいと思うことはあまりなかったのですが、元夫と暮らすようになり、やっと料理の楽しさがわかるようになりました。

 

元夫は仕事が休みの日は、食材の買い出しから手伝ってくれ、一緒に料理をしたり、もちろん後片付けにも協力的でした。

 

実家の両親と元夫では、全てにおいて雲泥の差ですよ。

料理とは、ただ食材を切ったり、焼いたり煮たりして完成させればいいのではありません。

ただお腹が膨らめばいいのではありませんし、男だから上げ膳据え膳でふんぞり返っていればいいのではありません。

 

私が両親と過ごした食卓の思い出は、このような悪い見本ばかりでした。

そして、最も問題なことは、私の実家では食べることで家庭の貧困を紛らせようとしていたことです。

 

私が生まれ育った家庭は、経済的にかなり苦しい家庭でした。

しかし何故か、或いは貧しさゆえのことだったのか、とにかく大量におかずを作って、食べ過ぎになるほど食べさせられたりしていました。

そして、何の協力もしない父が、我が家は食べ物だけは贅沢だと、目を細めていたりとナンセンス極まりなかったのです。

 

母だけが孤軍奮闘して、食材を無駄にするような大量の料理を作り、腹を膨らませても何の解決にもならない。

私はそう見抜いていました。

だから摂食障害にもなったのだと思います。

摂食障害になり、体を張って抗議していたのです。

 

その後、知り合った元夫はこのことを理解してくれましたし、協力もしてくれました。

 

たかが料理、されど料理。

口から入って、お腹が膨らむだけでは人間は幸せになれません。

料理とは心です。

 

今は元夫とも別れ一人の身ですが、一人でも充実しているので毎日美味しく食べることを楽しんでいます。